横浜思春期問題研究所付属相談室『横浜保護者の相談室』では、私立中高一貫校の中学生、公立・私立の高校生の相談やカウンセリングを神奈川県横浜市港北区と神奈川区でお引き受けしています。オンライン形式の面談も可能ですから、全国各地のご相談やカウンセリングもお引き受けしています。

 さて、高校生の相談やカウンセリングですが、入り口は
(1)保護者のかたが中学生や高校生の日常生活での行動(ネット依存、学業不振、親への暴言や無視)を懸念して、保護者のかたご自身が来談される(相談に来るということです)
(2)中学生や高校生が身体的な苦痛を訴えて、保護者のかたが子どもさんに医療受診勧奨(簡単にいうとお医者さんを勧めるということです)
(3)保護者のかたが子どもさんや若い人の「困り感」「つらさ」を察して、保護者のかたがまず来談される
の3パターンくらいに分類されます。中学生や高校生はスクールカウンセリングなどにふらっと現れてお友達関係のことを軽く話していくことはあるでしょう。
 (2)のパターンですが、こちらはまず医療機関を受診されることをお勧めします。民間相談機関をお尋ねになることも多いですが、具体的な身体症状の訴えがある場合(頭痛、頭重感、緊張からくる体の強張り、落ち込み、眠れないなど)や、保護者のかたが側から見てわかる容姿の変化(ワイシャツやブラウスの襟ぐりがスカスカになったり、目がギラっとする、なんだかわからない関わった感じの違和感や妙なすれ違いのやり取りなど)をお伝えされたときは、一般的には民間の相談機関も医療受診勧奨を(必ず)すると思います。これらの状態を改善することを第一義的に相談やカウンセリングを行うことは、治療的な意味合いが強くなり、非医行為となってしまいます。心療内科または精神科を標榜するクリニックを受診し、主治医の先生とその指示を受けたカウンセラーと相談することが第一選択です。もっとも子どもが受診してくれないからどうしたらよいかという相談は十分に民間相談機関もいたしますが、あくまで保護者のかたが子どもさんを医療機関へ受診させるためのサポートです。
 (1)のパターンですが、私たちの相談室が強みを持っているところではありますが、医療機関ではそれほど対応していただけない場合も多いのではないでしょうか。主治医の先生の生きかたや物事の考え方を聞くということは意味があると思いますし、保護者のかたにはありがたいと思われるでしょう。しかし子どもさんや若い人がやっとクリニックに来院するようになった時に、主治医の先生の生きかたやものの考え方の教示を受けるということは、子どもさんたちの語る後日譚によれば「は、だから?」と随分不人気です。今時の子どもさんや若い人はネット情報などで目や耳が肥えて大人びています。ここはまずは具体的な改善から入るべきところでしょうし、かなりコツのいるところです。実は具体的な改善について面談の中でしてしっかりグリップすることによって、後々の子どもさんや若い人たちが相談やカウンっセリングにおいて内省と洞察を語るきっかけとなります。ある意味での流れ作業の一端として「とりあえずカウンセリングで」というオーダーは少々上手くないのです。そして相談員やカウンセラーの巧拙の違いは誤魔化しがきかないので、相談やカウンセリングが流れ作業になている場合は、子どもさんや若い人の「通っているだけ」感が強まります。おそらく保護者のかたがよく言われるご不満はここに現れるのだと思います。流れ作業は致し方ないとして、カウンセラーの巧拙や相談やカウンセリングのプロセスがうまく行っているかどこで見抜くか?少々カジュアルに言いますと、担当している相談員やカウンセラーが子どもさんに対してどれだけの観察力を持っているか保護者のかたが査定することです。それが、心理学の教科書に載っているような一般的な説明(これは情報の非対称性を用いた誤魔化しのテクニックである場合もあります)なのか、我が子を育ててきた感覚から納得できる言葉で語られる観察なのか、よく吟味することです。例えばこの観察力の巧拙によって、認知行動療法などもアウトカムが違ってきます。なぜなら子どもさんや若い人の普段の自然な行動(少々雑に専門用語を使うとベースラインということです)の中に変化の芽を見出して強化していくことがコツですから。「認知行動療法がよいと言われて受けていたけど変わらない」、「認知行動療法は問題改善に対してエビデンスがあると言われたのに…」というご相談も受けます。しかしこれは認知行動療法が悪いわけではありません。私たちもトラウマの問題改善に著効を示す方法として認知行動療法やエクスポージャー法を提供しています(ただし適応のあるかたのみになります)。認知行動療法の信頼性や妥当性にエビデンスがあっても、子どもさんや若い人が抱えている問題に認知行動療法を適用することとが妥当であるか、また少々厳しい言い方ですが、認知行動療法を適用する人の用い方が妥当であるかは、全く別次元の問題です。認知行動療法が上手い人はおそらくは観察力に長けていると思います。
 (3)のパターンですが、保護者の子どもさんや若い人を思うお気持ち、見るお気持ちには大変頭が下がります。それがどのくらい正鵠を射ているか、ご相談で確認していく必要がありましょう。このパターンのご相談もお引き受けしていますのでお問い合わせください。