思春期のカウンセリングという記事では、子どもさんや若い人を「事例化」することの難しさについて記事を書きました。動機づけという専門用語がありますが、それとは少々ニュアンスが違うと思います。何せ子どもさんから出てくる言葉は「うざい」「だるい」ですからね。ただし、「メンタルクリニックに行かない?」という問いかけに対する「うざい」「だるい」は、もしかしたらご本人なりにピンとくるものもあるかもしれません。
 さて、下の図を見ていただくとわかるのですが、クリニックに行く、という行動は、自分の問題がかなりはっきりしている場合なのです。例えば、歯が痛いとすると、歯医者に行って治療してもらいたい、とかなり自覚的に思いますね。しかし、心のがモヤモヤするとか、何か人間関係がうまく行かない、といった困り事やお悩みでは、「よし、メンタルクリニックに行こう」とはならないものです。「相談は必要ない!」と自分の困りごとやお悩みを見なかったことにするのです。
 「だるい」「うざい」という子どもさんや若い人を相談に来てもらうようにするにはコツがあります。あゆの友釣りのような方法なのですが、それは保護者のかたがまずは熱心に相談に来てもらうことです。その際の細かいコツもいくつかあります。簡単に言うと、保護者のかたが変わりつつあることを子どもさんや若い人に示すということです(すみません、そのためにお金を払ってご相談に来ている人がいるので、ここでは詳細を割愛させてください)。
 子どもさんや若い人が相談に来るようになると、保護者のかたは3ヶ月に1度くらいの振り返り面接にくる程度でいいでしょう。
 私たちの相談室では、子どもさんや若い人が相談室に来るまで、保護者のかたにアドバイスを続け、そのアドバイスの実行を支援します。